【ぶどう作りと共に向き合う、社会の課題と地域の未来】
ーぶどう農家ー岡山県久米南町
月本果樹園
月本さん

ーはじまりー
それまで勤めていた建設業から農業へ、全くの初めての扉を開いたのは10年前。前職のノウハウはブドウ棚の設計から建設、耕作放棄地の再生などあらゆるところに生かされた。
ぶどう栽培は実をつけ、収穫するまでにある程度の年数が必要である上、設備投資にかなりのお金がかかる。一方で土地柄、農地がたくさんあるわけでないため、ある農地でぶどう農家としてどのように経営していくかを定めることは必須だった。
そこで、「第一に物量(もしくは【生産量】)を確保し、自身をブランディングすることで、バイヤーさんにとって売りやすい商材にしていくこと。つまり、売場を確保してくれた相手方のことを考え、求められるものを精一杯込めて作る」という月本果樹園の方針は農業を初めて約3ヶ月で決まった。
ーちょうせんー
日々ブドウに向き合い生産していく中で、ブドウにおける栽培環境(どのような場所が栽培に適しているのか、どれくらいの収穫が見込めるのか、また栽培技術等)については、自然に左右されることはあれど、しっかりとしたエビデンスを掴むことができた。
一方で、今後の事業拡大を考えた時立ちはだかったのは、やはり人材の確保であり、しいては人口減少下という社会問題でもあった。そこで、国内での人材確保はもちろんのこと、海外はベトナムに拠点を作る試験的取り組みを開始。現地に農場を持つことで、月本果樹園へ技能実習生として一定期間来日することがより容易となり、人材の無限ループを生むことができる。同時にそこに携わる人を大切に、農業をやりたい人が続けていける仕組みとして、【現地拠点では現地の人が作り、現地で売り切る】を目標とした。
国内産のぶどうが売られていないベトナムで、日本クオリティーの質のいいぶどうを生産し、輸入したものより安く販売できることで、ベトナムの農業所得・栽培技術の低さを改善することに繋がるのではないかと考えたのだ。そして今夏、ベトナム拠点における初なりのぶどうの収穫を行った。

ー月本果樹園×ファントゥー
月本果樹園とファントゥとの取り組みは、約6年前、共通の知り合いの紹介から始まった。
以下2023年度の取り組みについて
★取り組み①
ファントゥ:伊勢丹や成城石井においてシャインマスカットの販売
月本さん:ピオーネ等の色ぶどうは既に強い販路があったが、シャインマスカットの販路としては向いていなかったため、ファントゥを通じシャインマスカット一辺倒で卸せるというメリット。
★取り組み②
ファントゥ:月本果樹園のシャインマスカットとピオーネの果汁を使用した缶酎ハイを大手関西圏のスーパーのPB商品として開発、販売。
月本さん:月本果樹園としてのブランディング化を加速、またB級品の原料化をすることでより汎用性の高い商材に。
★取り組み③
ファントゥ:新宿伊勢丹とともに月本果樹園のぶどうゼリーを開発、発売。
月本さん:元々生果のブドウの取引実績がある店舗に更に加工商品を置いていただける。喜ばしい気持ちは勿論、『身の引き締まる思い』で、より精進しようと思った。
ー取り組み6年目の実感(月本果樹園さまの視点より)ー
その1
いい意味で、一度として同じ取り組みがない。とりあえず継続というような、惰性で『これでいきましょうか。』がないため、常に新しいエッセンスが入っていて、やる側(農家)も新鮮味がある。
その2
どれだけ緻密に計画し栽培に取り組んでいても、やはり自然相手であり、予定通りいかないこともある。収量が予定より下回ってしまう場合もあれば、在庫として余る事態も起きる。
しかしどのような場合においても、アドリブを効かし、互いにいい方法を模索しながら取り組むことができる。
その3
栽培面積は10年前の就農当初から大きく変わっていないが、売り上げは20倍になっている。

ーこれからー
「今、毎日が楽しい。日常の波もひっくるめて楽しい。そしてそこに課題があれば一つ一つ潰していく。さらに自分の楽しいことは先にしかない、そこに向かっていきたい。」
この度、農業と並行し、田舎での宿泊業もスタートさせた。
そこにある想いは、いつだって‘’農業×社会‘’を考えている。
地域を巻き込んで、世界をも見据えて関わる社会が発展していく道筋をつくっていくために。
月本果樹園 公式ホームページ